青い鳥はどこ?
ハロウィンが終わると、街中がガラッとクリスマスの装飾になりますね。
ハロウィンはここ数年のうちにあっという間に定着したようですが、
クリスマスのようにこれから先の何十年も
毎年当たり前のイベントになっていくのでしょうか。
そんなことを考えていたら、
10年ほど前のローマでのクリスマスを思い出しました。
私はその旅まではクリスマスといえば、
パーティやプレゼントなど賑やかで華やかで、わくわくしたり楽しいものというイメージでしたので、
欧米のクリスマスはさぞ、盛り上がって華やかなんだろうと思っていました。
ところが、実際のクリスマスイヴの現地は、
信じられないほど街中が閑散として静かで、
人通りも普段よりだいぶ少なく、お店も早めに閉店。
灯りが少なく暗い街です。
意外すぎてとても驚きました。
街中の装飾も、店先にリースやツリーが飾られたり、
通りにもイルミネーションなどクリスマス仕様になってはいますが、
日本の街中のような派手なものではなく、
BGMも、店によってはレトロなものが流れていても、とても静かで落ち着いたものでした。
日本の感覚からするととても寂しく、地味なものでした。
イヴの夜には宿泊していた小さなホテルのオーナーが、静かにトントンと戸をたたいて、
ロウソクの灯りと宝探しができる焼き菓子(指輪などの小物が1つ焼き菓子に入っていて、そのひと切れが当たるとラッキーというような伝統の風習のもの)とシャンメリーを、
「素敵なクリスマスを」との笑顔とともに届けてくださいました。
欧米の方にとって、
クリスマスは神聖なものであり、家族で家に集まって静かにお祝いをして過ごすもの、
ということを肌で感じ、とても感慨深いものがありました。
そう、日本の大晦日〜お正月と、ほぼ同じ感覚なのです。
25日の朝は静かで清々しく、元旦と同じ空気を感じました。
翻って日本は…
クリスチャンでもないのに皆が「メリークリスマス♪」と浮足立って
ホテルやレストランは予約でいっぱい、
恋人がいなきゃ、チキンだ、ケーキだ、大人までプレゼント交換などと…
それまでは何とも思っていなかったその空気に、とても違和感をおぼえるようになりました。
考えるとハロウィンも、
元々は子どもが仮装して「トリック ア トリート!」と近所の家をまわってお菓子をもらうという伝統のもののはずが、
日本ではすっかり、大人も、皆が仮装してパレードなどで大騒ぎするのが定着しつつあります。
経済的には、そんなイベントのおかげで消費が促されて潤ったり
閉塞感のある世の中の活性化などの効果があるのかも知れませんが、、
伝統文化の本来の意義を無視してそうなることに、私はとても疑問を感じます。
外国からの観光客が増えていますが、欧米の方の目にはどう映るでしょう。
クールジャパン?
それはそれで、日本の文化とか、良さだと言われれば否めない感もありますが。。
欧米の文化といえば、建造物についても日本との根本的な違いを感じました。
私が旅したパリ、ブリュッセル、ミラノ、フィレンツェ、ローマのいずれの街でも、
新しそうな、新築の建物はあまり見かけませんでした。
デパートやスーパーマーケットの建物は比較的新しかったと思いますが、
宿泊したホテルは石造りで、
古い映画に出てくる手動式の鉄格子?のエレベーターがあったり、家具も古く、傷だらけでもそこに趣と温かみがあり、
外観は古いものの、内装は小まめにペンキで壁をデコレーションし直して明るくキレイに保たれていました。
恐らく、築100年以上の建物ばかりだったのではないかと思います。
日本家屋は木造が主なので一概に比較できるものではないですが、
古き良きもの、文化や伝統を
一般の皆さんが、ごく当たり前に大切にして暮らしている気質が伝わってくるようで、
そんなところにも感動しました。
先日、帰国子女の方とお会いする機会があり、20年ほどアメリカ・ワシントンにいらしたそうですが、帰国して、
「日本全体が元気がなくて、どうしちゃったの!?」と思ったと仰っていました。
以前の日本はもっと活気があったのに、と。
また、別の方のお話で、「日本の大企業はもう国内を見ていない。海外を向いて仕事をしている」とも聞きました。
何者でもない私が言うのは、とても、おこがましいですが、、
このままで良いの?日本。。
という思いです。
たまたま読んだ本の中に、
1978年〜総理大臣だった大平正芳さんのインタビュー記事として、
「青い鳥が山の彼方におるなんていうのは幻想だと思う。青い鳥はここにおる。いい政治はここにある、今ある。
今以外は、我々の世界にはないんだから、今日一日を大切にする」という一文があります。
灯台下暗し、とでも言いましょうか、
遠くに楽しみや幸せを求めるより、我が足もと、
今、ここにある諸々の小さなシアワセを、じっくりかみ締めて、いつも心に置いて暮らしていきたいと思います。